IB生の「生の情報」IB経験しての後輩へのアドバイス
II. 「IB生のための大学受験」
4)大学出願エッセイ
「エッセイ(小論文)を制する者は受験を制す。」この言葉通り、エッセイができる人は合格に繋がります。実際、出願の際に先生方に尋ねてみると口を揃えて「エッセイは合否を大きく左右する一つの要因」だと言います。しかし、一口にエッセイを書くと言ってもどのように書けばいいのか迷ってしまいます。そこで卒業生からどのように書けばいいのかをここでお伝えします。
エッセイといっても様々です。エッセイのテーマとして、志望理由、過去に読んだ本で面白かったもの、自己PR、課外活動などがあります。大学によって求められてくるエッセイの性格が微妙に異なり、中には難解で圧倒されるものもあるかもしれませんが、ご心配なく。ここで詳しく説明していきます。
エッセイのジャンル
- 志望理由
このジャンルのエッセイは自分の熱意を伝える絶好のチャンスです。なぜ自分がその大学を志望するのかは自分自身がよく分っていると思います。例えば、その大学の環境に魅了された、学部のレベルが高い、ある教育制度が自分に合致している、など自分の思うように書けます。その際に注意するべき点は、「自分がなぜそう思うようになったのか」という過去の体験も含めて書くことです。そうすると身のあるエッセイになると思います。 - 自己PR
自己PRエッセイでは自分の良さをアピールしなければいけません。しかし、アピールと言っても必要なアピールとそうでないアピールがあります。基本的にアピールは出願する大学に関連があることの方がいいです。例えば国際関係学部に出願する場合、「自分は数学が得意!」と書いても意味がありません。国際関係学部なら、「自分は海外在住経験があり、様々な文化の人たちと携わってきたことによって、より一層国交の重要性に気付いた」と書いた方が学部にも関係してくるので強いアピールになります。 - 自分の好きな○○
大学によっては「自分の好きな○○は何か」というお題があります。少し違和感を覚えるかもしれませんが、卒業生の中にはこのようなお題が出た人もいるそうです。その際には素直に自分の思っていることを正直に書けばいいと思います。もし「今まで読んだ本の中で好きな本はなにか」というお題が出た場合、正直に好きな理由を説明すれば大丈夫です。このようなお題の場合、わざわざ審査員によい印象を与えることを意図してまで、学部や大学に関係することを書かなくても大丈夫です。 - 課外活動
課外活動は学校内外ありますが、様々なジャンルに携わっておくことをおススメします。なぜならば、様々な課外活動をやった分だけ課外活動のエッセイのお題に答えるための材料があるからです。選ぶ材料が多いほど書きやすくなると思います。また、その課外活動から自分は何を学ぶことができたのかを書いてください。ただ単に活動内容の説明だけだと味気のないエッセイになってしまうので、前述したことに着目して書いてください。
ここまで異なるジャンルのエッセイの説明をしましたが、今度は実際にどのようにエッセイを書いた方がいいのかを説明します。
エッセイの手順
- お題を理解する
- お題に対する自分なりの結論を先に導き出しておく
- アイデアを出し、ブレインストームして書く材料を集め、整理する
- 最初から最後まで首尾一貫したエッセイを書く
- 書き終えたら先生に添削してもらい、アドバイスをもらう
- エッセイを改善し、また先生にチェックしてもらう(繰り返し行う)
簡単に手順を書くとこうなります。今度はこれらを細かく説明していきます。
- お題を理解する
まずエッセイを書く前に、自分が何を要求されているのかを把握することが重要です。お題に自分が重要だと思う箇所に下線を引くなどして大事な部分を見落とさないようにした方がいいと思います。
- お題に対する自分なりの結論を導き出す
次に下線を意識してお題に対する結論を考えると良いでしょう。なぜ先に結論を考えるのかというと、結論を先に用意しておけば構成がしっかりするからです。先に結論を考えておくとエッセイを書く際に主旨が逸れにくくなり、自分にとっても読み手にとってもわかりやすくなります。
- ブレインストームして書く材料を集め、自分の思考を整理する
エッセイを書き始める最終段階として、ブレインストーム(アイデアを思いつく限り書き出す作業)があります。ブレインストームをすることによって書く材料を集め整理することができ、エッセイを実際に書くときに自分が混乱しなくなります。アイデアを図にしたり、箇条書きにしたりしてまとめるのが良いでしょう。そのために白紙に手書きで書くのもありですし、SparkCollegeというサイトの手順に従ってブレインストームをすることができます。それらをやっていくうちに、徐々に骨組みやアイデアが生まれてしっかりとした構成のエッセイになります。 - 最初から最後まで首尾一貫したエッセイを書く
結論やそれにたどり着く骨組みやアイデアを出した後は、文章にしてみて下さい。初めのエッセイなので、難しく書こうなんて思わなくて結構です。ただ、しっかりと問いに答えるエッセイを書きましょう。書き始めは簡潔に書くように心がけると良いでしょう。なぜなら簡潔なエッセイの方が読み手にとって、書き手の意図やエッセイの主旨が理解しやすいためです。また、エッセイには字数制限があるので最終的にはそれを超えてはいけませんが、この段階では多少字数を超えていても大丈夫です。むしろ超えるつもりで書いた方が良いでしょう。なぜなら、字数を増やそうとするよりも削除する方が簡単だからです。構成や文法を自分でチェックした後は先生にも添削してもらいましょう。 - 書き終えたら先生に添削してもらい、アドバイスをもらう
出願する大学によって添削してもらう先生を変えるのも一つの手です。例えば、カナダの大学出身の先生にはカナダの大学を、アメリカの大学出身の先生にはアメリカの大学を、というように見てもらうと先生方は丁寧に教えてくれます。また、海外大学ならば海外出身の先生、国内大学ならば国語の先生に添削してもらうといいと思います。しかし、先生も授業の都合があるので添削を相談する前にアポイントメントを取っておきましょう。 - エッセイを改善し、また先生にチェックしてもらう(繰り返し行う)
添削とアドバイスをもらった後、エッセイを改善して、また先生にチェックしてもらって下さい。人によっては2回の添削で提出する許可を貰った人もいれば、6回以上チェックして初めて提出できた人もいます。文法や言葉遣いは必ず先生に見てもらってください。それだけでも読み手の印象はよくなります。
以上が詳しいエッセイの手順です。
各国の出願エッセイ
次に各国の出願エッセイの特徴とその書き方について説明します。
- アメリカ
アメリカは個性を重視します。起承転結といった構成は勿論ありますが、オーソドックスな書き方でなく、日記のような自由な文章で書くことがふさわしい場合もあるので先生に相談しましょう。その方が個性的なエッセイに仕上がり、他の受験者よりも際立つものになります。アメリカのエッセイは他人から見て大きな出来事ではなく、自分にとってどれほど大きな出来事かが重要です。よって、何気ない日常や自分の家族のことを題材にして書くことも可能です。題材に合わせて柔軟に対応しましょう。 - イギリス
イギリスはアメリカとは異なり、オーソドックスな書き方です。何をどこで書くのかは本人の自由ですが、イントロダクションと締めを含めた6段落構成で書くといいでしょう。以下は例です。
序: とても簡単なイントロダクション。自分の名前、国籍、学歴、興味のある分野の学問、もしくは大学のコースなど。 1: 自分がどのようにしてその分野の学問に興味を持ったのか、きっかけは何かなど。 2: その興味のある分野をいかに自分の中でどのように発展させていったのか(高校の授業、課外活動、などを例にあげるとよい)。 3: 将来の具体的な目標は何か。そのために大学で何を学び、習得したいのか(この時に、大学の用意している具体的なコースや将来の自分の職業などをもう一度確認しておくとよい)。 4: 自分はその大学のその分野の勉強をするとき、学びの場にどのような知的貢献をできるか(日本人として文化的貢献ができる、自分の持っている能力が大学の環境に貢献できる可能性など)。 5: 自分の性格を含めてそのコースを3、4年間やり通す自信があるということ。 結: 自分の文章(Personal statement) を読んでくれたお礼などで簡潔に結ぶ。 - カナダ
アメリカ大学出願の書き方を参考にしてください。アメリカ大学に似ていますが、カナダの方がより簡単です。 - 字数制限がCharacter数なのかWord数なのかを確認して下さい。Characterの場合は文字数、Wordの場合は単語数です。
- お題によっては書きにくい内容があります。早めに取り組む事が大事です。
注意点