IB生の「生の情報」IB経験しての後輩へのアドバイス
II. 「IB生のための大学受験」
2)海外大学出願
B)イギリス大学 出願プロセスイギリスの出願はUCAS (The Universities and Colleges Admission Service) http://www.ucas.com/というインターネット上の大学出願機関を通じて行います。一回の出願で五校の大学に受験できるので、個別の大学に出願パッケージを送信するのが主流のアメリカ大学受験よりも格段に簡単です。
出願の大きな流れ:
- UCASのページに自分のアカウントを作る
UCASのホームに入ったら早速 “Register or login” というところをクリックして自分のアカウントを作り、登録(register)します。UCASは大学学部出願(Undergraduate)以外にも大学院出願(Postgraduate)、教師育成のためのトレーニング(Teacher Training)、美術、演劇系の方面に出願するための(CUKAS Performing arts)を担当しているので、間違えずに学部出願(Undergraduate)の方に行き、登録しましょう。
オンライン出願なので、ID,パスワードの管理はしっかりと行いましょう。また、連絡用のメールアドレスは、出願用にまじめなものを作成しましょう。登録を終了する際に、
- Username
- パスワード
- Personal ID(二つのハイフンが入った十桁の番号)
- 個人情報を入力する
Registerが終了したら、その調子でどんどん個人情報欄を埋めていきましょう。
前半は氏名、性別、生年月日、国籍、住所(英語での表記を確認しておきましょう)、電話番号(できれば国番号つきが望ましい)、メールアドレス(これはイギリスの出願に限らず、海外受験の際は結構大事です。迷惑メールなどに分類されて合否が届かない、なんて事態を避けるために日常生活用と大学受験用で区別して新しく作っておくことをおすすめします)といった基本的な情報を埋めます。
その次に、迷い始めるところが” Date of first entry to UK”です。「あらかじめそんなところまでしっかりと決めておく必要があるのか!?」と驚くかもしれませんが、既に本気で住居プランまである人を除けば、深く考えなくて結構です。これはイギリスが第一志望の方でなければ、適当に ”September 1st”と入力しておけばいいと思います。イギリスの大学の大半は9月もしくは10月始まりなので、それより少し前の”September 1st”と入力しておけば、審査する大学側は「ああ、この人は9月入学する人だな」と判断してくれます。
パスポートの情報も(これも海外の大学受験には重要です)入力するので、出願前には必ず期限が切れていないか確認しましょう。期限が切れている場合は必ず役所で新しく作っておきましょう。
Student Supportという項目がありますが、これは生徒がどこから学費を出すのかをはっきりさせる項目です。その中の“Fee code” では、既にどこかからイギリス用の全額支給の奨学金などをもらっている人を除いた、大体の人が” 01 Private finance(自己負担)”を選ぶことになります。イギリスの奨学金の応募については、大学の合格通知が来たあとに、大学側から「あなたにはこんな奨学金を用意しています」もしくは、「あなたの場合だとこんな奨学金に応募してみる『チャンス』があります」という内容のメールが送られるようになっているので、出願の時点では心配はいりません。
医師の診断で何かしら身体または精神障害がある方は”Disability/special needs”の項目をしっかりと埋めておいたほうがいいでしょう。
- 志望校を選ぶ(五校までOK!)
受験校を選ぶ際は日本の留学生向け雑誌を読んでも結構ですが、UCASのサイトのCourse Search を活用するのもいいでしょう。イギリスは基本、各大学の「各コース」に出願するので、コース別にその情報や、難易度を表示してくれるUCASの“Course Search”を使って探すことをおすすめします。また、UCASの”Course Search”を見るだけでは分からない情報(例えば、どのような教科を取れるのかなどを書いたカリキュラム表など)は最終的には大学のホームページで確認しましょう。
また選択の際に、イギリスの大学は総合のランキングだけを見るより、「学問分野ごと」のランキングを参考にするほうがいいチョイスができると思います。イギリスの大学は伝統的に、コースごとに特徴があるので一概に総合ランキングで上位の大学が全てのコースでも上位を占めるかというと、そうでもありません。例えば、イギリス内で総合順位28位のSheffieldはPolitics(政治学)だと4位に入り、Cambridgeより上位であり、Southamptonは総合20位ですが、Mechanical Engineering(機械工学)の分野だと5位に浮上し、Oxfordを抜く、といった現象が起こります。これは2014年2月時点での情報ですが、この、「ある学問分野はやたらと強い」というのはイギリスの大学の大きな特徴といえるでしょう。
こういった情報を慎重に分析しつつ、出願校を選ぶ際は二つを挑戦レベル、二つをボーダー圏、そして滑り止めを一つという組み合わせにするといいかなと思います。
以下のリンクは受験校選びに参考にするといいかな、と思うリンクです。
- Top UK league tables and rankings
http://www.thecompleteuniversityguide.co.uk/league-tables/rankings - UCAS course finder
http://search.ucas.com/
- Top UK league tables and rankings
- 学歴、資格を入力する
まず、普通の日本の高校に通っている人だったら、Qualificationのところに、Japan - Kotogakko Sotsugyo Shomeisho - Upper Sec School Leaving Certを選択し、そこに成績を入力しましょう。始まった年と月、修了する年と月を入力します。正式な紙の成績証明書は先生に、英語に翻訳してもらい、UCASに直接送付してもらいましょう。
Education Detailには、自分の通っていた学校について入力するスペースがあり、小学校から学歴を書く人もいますが、僕の個人的な意見では、別に中学と高校だけしっかりと書いてあれば、小学校とかは書かなくてもいいと思います。ただし、帰国子女で色々な教育環境を転々としていたとなれば話は別です。
自分の英語の能力の証明であるTOEFL iBTやIELTSの点数も入力していきましょう。英検も入れてもいいとは思いますが、TOEFL iBTかIELTSのどちらか片方があれば十分です。イギリスの場合、IELTSのスコアが優先される場合があります。
- エッセイを書く (第15問で詳しく回答)
UCASのエッセイはPersonal Statementといいます。題は無く、スペースを含む4000 character(断っておくと、これはアルファベットの字数です、単語wordの数ではないので混乱しないように)でとにかく自分をアピールしましょう!
エッセイは先生の添削を受けて何度も何度も、これでもかというぐらい推敲しましょう。自分で読んでもらえると感じていても、ネイティブの先生が読むと読みにくいと指摘される場合もあります。そういうわけで英語の先生にはとてもお世話になるので、添削のお礼や合否結果の報告は忘れないように。
- 推薦文を書いてくれる先生の情報を入力する
イギリスの大学を受けるためには一つのエッセイと一つの推薦文があればいいのです。そこはアメリカやカナダより遥かに楽です。ただ、先生にも推薦文を書く時間は要るので、こういうことは早めに済ましておきましょう。
UCASでの推薦文の扱い方は少し独特なので注意しましょう。少し説明がややこしいですが、頑張ってついてきてください。
まず、Referenceの項目に行き、自分が推薦文を書いてもらいたいと思う先生の情報(氏名、学校での身分、学校名、学校の住所、電話番号、メールアドレス)を入力します。このときに一番重要なのはメールアドレスです。推薦を頼む先生の情報を入力し終えた時に、UCASがその先生のパソコンに「〇〇さんがイギリスの大学の受験をするので、我々UCASのページに入ってそこに推薦文を書いてください」といった内容のEメールを送信します。このメールは極めて重要なメールです。UCASに「××先生に推薦状以来のメールを送ってください」というメールを出すボタンを押したその翌日、必ず先生にUCASからメールを受け取ったかを直接会って確認しましょう。間違ってそれが先生の受信ボックスの迷惑メールに入っていると、先生は推薦文を書けません。そこから先は先生任せなのですが、先生がUCASの指定するページで推薦文の入力が終わった時に、UCASが「××先生が君の推薦文を書き終わったよ」という内容のメールを出し、晴れてその推薦文の項目は完了になり、Paymentができるようになります。
推薦文がのせられたことを確認し、出願が終わったら必ず先生に一言でもいいのでしっかりとお礼を言いましょう。合否が出たら先生に報告することも大切です。
- クレジットカードで支払い(締め切り1月15日)
“View all details”のセクションで自分の入力した内容に誤りがないことを確認したら、いよいよクレジットカードで精算です。金銭的な事が絡んでくるので、改めて保護者の方の前で色々と身の回りで起こっていることをはっきりさせるチャンスです。この際にはしっかりと保護者の方に自分のやってきたことを説明し、同意を得ましょう。そもそも海外留学というのは国内よりも保護者に金銭的、また精神的負担を強いるものです。金銭面ではその後色々な奨学金に応募したりすれば多少ですが貢献ができるでしょう。それが無理ならば最低限自分のできる限りの説明をして保護者の方の不安を取り除くように努めましょう。
Payment(精算)はいくつか方法がありますが、大抵VisaかMasterCardといった一般的なクレジットカードの支払い方法で大丈夫です。料金は2014年度の出願は五校全てで£23(ポンド)で、日本円にすると5000円かかりません(日本の大学の入試料と比べれば遥かに良心的です)。
Paymentが終わったら、その領収書のような画面を印刷してとっておくとよいでしょう。色々と大切な情報が詰まっているので万が一の時に何かしら役に立ちます。