IB生の「生の情報」IB経験しての後輩へのアドバイス
I. 「IBの学生時代」
3. IB勉強法
B) 内部評価に向けてIB評価は、11月試験だけではありません。内部評価についてもしっかり対策を取りましょう。
Japanese A HL literature
Japanese A には三つのAssessment (課題)があります。世界文学論文、プレゼンテーション(oral presentation)、そして口頭試問(individual oral)です。ほとんどの生徒にとって母国語である日本語の課題なので、とくに複雑なことはありません。中間テストや期末テスト、長期休暇時に出題される作文の宿題がそのままAssessment の原稿となる可能性もあるので手を抜かないよう気をつけましょう。
世界文学論文
世界文学論文は約3000字の課題論文です。まずは自分で最善を尽くし、早めに国語の先生に国語の先生に添削してもらい、アドバイスを求めましょう。分からないことは質問しながら確認すると、先生方も助言しやすくなります。積極的に話しましょう。また先生との会話を録音しておくと後から必要な部分を再生することが出来て便利です。先生に下書きを見てもらうことで、焦らず提出することが出来ます。
授業の際にsupervised writing という、世界文学論文の下書きの様な課題が出されることがあります。これは世界文学一作について、五十分程度の間に書けるだけ書くという課題です。
Supervised writing は書いた世界論文と共にIB本部に送られる非常に重要な小論文です。この小論文で選んだ主題を元に世界論文を書くことになりますので、決して手を抜かないよう注意してください。
プレゼンテーションと口頭試問
プレゼンテーション(oral presentation) と口頭試問 (individual oral)はどちらも慎重で念入りな準備が必要です。プレゼンテーションをする作品を選ぶ際、なるべく自分が楽しいと思った課題図書を選ぶと楽でしょう。自分が作品に抱いた疑問を基にし、アイデアを整頓すると上手なプレゼンテーションができます。レジュメを配り口頭で発表しても良いですし、スケッチブックなどを使って観客を楽しませる形の発表をするのも評価が高くなります。プレゼンテーションなので、原稿を読み上げるような発表はあまり点が取れないと言っていいでしょう。
口頭試問は、指定されたいくつかの作品の中からくじで一つを選び、それについて十分間解説を行う試験です。高校三年生の一学期末に行われます。普段から授業を集中して聞いていることが大切です。数日前からの詰め込みでは絶対にうまくいきません。毎日の積み重ねを大切にしましょう。家族や友人を相手に練習するのもいいかもしれません。
English A HL language and literature
HL では主に四種類の課題があります。IB本部へ送られるものがほとんどですので、ベストを尽くしましょう。
Written Task 1(作文)
課題図書をもとに作文を書きます。具体的には読んだ本のエピローグを書いてみる、演劇の一部を小説に書き直してみるなど、想像力が求められます。論文ではないので論点は必要ありません。論文よりも苦手と感じる人が多いと思われますが、成績の四分の一近くを占める課題です。しっかり取り組みましょう。二つ書くwritten task 1のうち、一つを選びIB 本部に送ります。
Written Task 2(論文)
課題図書をもとに、こちらは論文を書きます。主題を決め、論点をはっきりさせて書くことがポイントです。複雑ではないものの、その分しっかりとした構成力が問われます。二つ書くwritten task 2のうち、written task 1 に対応するものをIB 本部に送ります。少し分かりづらいので、詳しい説明は先生に聞くと良いでしょう。
Individual Oral Commentary (IOC) ― 口頭試問
Japanese A の口頭試問とほぼ同じ形式です。日々の積み重ねが一番重要な準備になりますので、くれぐれも一夜漬けで覚えた知識で対応できると思わないでください。
Further Oral Assignment (FOA) ― プレゼンテーション
「マスメディアの表現技法」「政治で使われる表現技法」などのテーマと、動画や広告などの材料が与えられます。それをもとに自分で論点を決め、プレゼンテーションを行います。
History HL SL
Historical Investigation という大きな課題論文があります。これは自分が好きな歴史の範囲から主題を決め、2000字以内で論文を書くという課題です。主題のことを research question といいますが、これは「研究したい疑問・質問」ということです。
評価が厳しくなる世界史を選ぶよりは、日本史から主題を決めることをお勧めします。大河ドラマに影響され、ドラマに結びつけて論文を書いた生徒もいます。主題はある程度自由ですが、History HL を選択している生徒はHistory HL Paper 3の範囲になる倒幕のことや明治維新、太平洋戦争について書くと、試験勉強のときに負担が減って楽になると思います。
資料としては図書館の本を使ったり、Questiaというウェブサイトで本を検索したりしました。インタビューなど直接的な資料があると尚良いのでその場合は早めの連絡を意識して動くことが大切です。いい点を取るには一つ以上の視点や考えが必要なため、異なった視点の本を三、四冊探すと良いでしょう。自分が一番納得した視点を、なぜ納得したのか考え、ほかの視点がなぜ納得がいかないのかを論じるのが高得点への近道です。さらに納得した視点についても、その視点の弱点を含めた分析をすることが重要です。
IBの教科は全て生徒の自主性が求められますが、特にHistorical Investigationは、順番がくるのや先生から気にかけてくれるのを待つのでなく、自分から積極的に質問しに行くことが大事です。
「自分がすごく後悔しているのが、先生が提示してくれたいくつかの提出日があったのですが、間に合わせることだけを考えてあまり内容をちゃんとやってこなかったことが、後から全体的に直しを入れなくてはいけないというなんとも面倒くさいことになってしまったことです。1ヶ月に一度ぐらいの頻度の提出で今考えるとちゃんとやる時間もあったので、その頻繁な提出日を大事にすることがHistorical Investigationの成功の秘訣だと思います。」― 2014年卒業生
*自由課題論文(extended essay) をHistoryで書く場合
基本的な主題決めや情報収集の方法はhistorical investigationと同じです。長期的な課題で結構大変な印象を受けますが、1000語、2000語、4000語、といった締め切りをしっかり守っていけば大失敗はしません。わからないことや不安なことがあったら、アドバイザーに相談しましょう(相談時間は合計で五時間までと規定されています)。資料集めは他の教科の勉強が落ち着いているときにやっておきましょう。長期的な課題ほどすき間時間を有効に使っていきたいものです。
人によってはまず主題を決めるのに二か月かかる人もいます。納得できるのに巡り合うまでが長いようなので、高校一年生の三学期の段階で、ある程度内容を決めておくのも一つの手でしょう。主題を決め、情報収集が一段落してから論文を書きはじめます。
Chemistry HL SL
授業中、先生がAssessmentに関しての説明やヒントを教えてくれるときがあるため、しっかりと聞きメモをとることが必要です。また教科書にも参考になる説明が載っている場合もあるので活用することをおすすめします。更に高得点を目指すのであれば、先生に添削をお願いすることが重要です。
またLab report (実験後提出するレポート)は書き方を理解しておけば高得点を狙えるのでCriteria(評価基準)と自分のレポートを照らし合わせ全項目を網羅しているかどうかの確認を提出前にしておきましょう。書き方やコツなどはgroup 4 booklet という資料に記載されているため、その通りの手順に沿って書くことが一番大切です。計算などで苦戦する場合はChemistry HL選択者に聞くことや、先生が下書きを見てくれる機会があるときに提出してアドバイスをもらうのが一番確実です。
Maths SL
Maths SLではポートフォリオ(portfolio)と呼ばれる4つのAssessmentがあります。それにはお題が出され、それに数学的理論で答えるという内容です。最近の卒業生が行ったPortfolioでは主に数列(Numerical Sequence)が出されました。しかしそれが必ずしも毎年似た形で出されるとは限らないので、注意して下さい。
Portfolioは比較的簡単だと思われます。中学2、3年生から高校1年生の間に数学で困った事がない人にとっては一番高得点が狙えるAssessmentです。数学が苦手という卒業生もこのAssessmentは高得点をマークしています。ただ、しっかりと聞かれている事を答えるということが大事になっていきます。数学が苦手な人が読んでも理解できる、そのような説明の仕方なら高得点は間違いないでしょう。Portfolioを書く際に、ガイドラインが記載されたプリントを先生から貰うと思うのでそれを元に進行していくことがベストだと思います。もし自分の書いている内容が少しでも不安なら先生に聞き、添削してもらい、アドバイスを貰うのがいいと思います。先生に聞く以外に友達と切磋琢磨し、お互いを助け合う(アドバイス程度)卒業生もいたようです。特に友達だと気軽に聞けると同時に、いい刺激にもなります。お互いを意識しつつ助け合うことによって相乗効果が生まれるため、これが自分に合っているようなら試してみるのもいいと思います。また、4つのPortfolioの内、採点されるのは2つだけなので最初は肩慣らし程度に考えてもよいと思います。
繰り返しますが、Maths SLのAssessmentsは高得点を取りやすいAssessmentsです。絶対にここでは高得点を狙いましょう。
English B HL
先生が配布する guidebook には必要なポイントが全て押さえられているため、活用してください。
Oral presentation は討論形式(discussion)で行われるため、いかにほかの人に埋もれず、自分の意見を主張できるかが高得点への鍵です。Oral presentationは前から準備できるものとできないものがあります。事前準備が可能なときはしっかり自分の意見を固めておくことがとても大事です。またそのような場合は自分の役回りを決められていることがあるので、それについてインターネットを使って知識を増やし、どのような発言や事例を出したら強力かメモを作って準備することをおすすめします。どのような形式のoral presentationにおいても自分個人の意見は必ず聞かれるため、知識を増やす段階で自分としての意見も頭の中でまとめておくことが大切です。また、単語を理解し、語彙を増やしておくことで発表時に応用を効きかせることができるようになります。
Physics
ChemistryのAssessmentsよりも厳しく採点されるのがPhysicsのAssessmentsです。内容的にはChemistryのLab Report(実験レポート)とは差がありませんが、一つだけ大きな違いがあります。それは実験で出たデータの書き方、グラフの書き方がより細かくなることです。「細かくなる」というのは、実験により生じる「誤差」も含めなくてはならないということです。Chemistryではグラフにそれを書く必要がありませんが、Physicsだとその必要があります。そうでないと点数が伸びません。参考にできる資料(handbookなど)を先生から貰えると思うので、それを使い最初は遅くてもいいのでデータやグラフを入力してください。徐々に慣れていくと思います。一番やっかいなところは、前述した「誤差(Uncertainty)」の計算です。これが一番ミスをする箇所なので、先生に何度か添削してもらってください。基本的に出されるLab Reportは授業で習ったことのある内容なので、テキストブックを使って書くのも一つの手だと思います。
Visual Arts SL
Visual Arts SLは一年半で9個以上の作品を作ることがAssessmentの内容になります。Visual Artsはアイデアを生み出すまでに相当な時間と労力がかかるので、モチベーションの維持がとても難しくなっていきます。モチベーションの維持がうまくできないと、後回しにしてしまい、提出期限に上手く間に合わないということが起きてしまいます。この負のループに陥らないためにはまず、自分に合ったペースを見つけることが大切です。卒業生の中では1週間以上アイデアに費やし、IWBとStudio Pieceの配分を6:4ぐらいに考えた人が多かったようです。先生が設定した提出日だけでなく、自分の実力を把握し、自分のペースに沿った細かい提出日を設定して先生に見てもらうようにするといいでしょう。そして一番大切なのが、たとえ自分や先生の提出日に間に合わなかったとしても、自分に正直でいることです。正直に先生に話した上で、先生と共に調整を行っていきましょう。先生とのコミュニケーションがとても重要になってくるので、頻繁に話す機会を作りましょう。また、コミュニケーションという面では同じVisual Artの選択者にアドバイスや評価を求めて一緒に成長していくこともとても大事です。互いを尊敬し刺激し合っていける素敵な仲間なので、個別ではなく作品作りも皆でやろうというグループ姿勢でやっていくことをおすすめします。